
大屋根リングの上を歩く私に、衝撃が走る。
「何だ、このストロークは…」
リングの描く曲線のことではない。半円形の水面の横に沿う部分が描く直線である。水上ショーの観覧席で主に構成されているが、地元の子どもたちが共同で描いたような雰囲気の多数の絵も彩りを添えている。この直線は、リングの内部ではっきりと認識できる直線の中ではおそらく最長のものと思われる。私に衝撃が走ったのは、この直線を最も強く認識できる場所の一つに足を踏み入れたからだ。直線全体を見渡せるのはもちろん、何より、私もその直線上に居るということ。体験型の施設やイベントが人気となっている昨今だが、私は大屋根リングの直線を体験している。
ここで、深呼吸。私はこの体験型アトラクションをそのまま受け入れるのではなく、天の邪鬼にも、状況を客観視する道を選んだ。そうすることで真っ先に思い浮かんだのは、私は直線上に居ながらにして、大屋根リングの円と、水面の半円の円周上にも居るのだということ。しかしそうだとすると、もはやこれは直線上の体験型アトラクションではないのではないか。そんな不安が私の脳裏をよぎった。
更に、私はとんでもないものの存在に気づいてしまった…。

直線の右側には、巨大なトタン屋根があったのだ。直線と曲線の狭間で頭を悩ませていた私を、この巨大な波打つ平面が無表情で諭すかのようだった。
「平面なのに、平面じゃないこともあるんだな…」
私の不安はトタン屋根の波にさらわれ、気が付けば、私は青い空をただ見つめていた。
