不思議系、癒し空間


午後9時前、西ゲート前の土産物屋で、私は文字通り、出口を見失っていた。

「え?これどっから出るの!?」

商品を買う人はレジを抜けて出られるのだが、何も買わなかった私はどう出ればいいか分からず途方に暮れていたのだ。出口らしき場所はあったのだが、そこを通って道なりに進んでいると、いつの間にか店内に戻っている。結局、レジの列に並びつつ、レジをスルーするという高度なテクニックで脱出に成功した。

夢洲駅からの帰途に就くため、私は東ゲート方面に向かって歩き出した。会場内のほとんどのパビリオンはその日の営業を終えているため、間接照明のようなライトアップとなっていて、ちょっとした不思議空間だった。

しかし先ほど、出口から外に出たつもりが気が付けばまた店内にいるという体験をしたばかりの私は、不思議体験について耐性ができており、この程度のことですぐに狼狽えることはなかった。それでも、この時間帯でないと味わえない特別な夜の万博会場の中を歩み進めるなかで、それはじわじわと私の心を捉えつつあった。

失いつつある平常心の中で、私は自分の心に言い聞かせた。

「大丈夫。東ゲートは、夢洲駅につながっている。」


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