夜の水面(みなも)のエトセトラ


夜、周囲に水の装飾を施したパビリオンの前で、私は立ち止まった。かなり広い範囲に水が張られ、縁の部分がライトアップされている。水面はたぷたぷと波打ち、私に語り掛ける。

「何も、思い浮かばないの?」

まさに、核心を突く一言だった。何も思いつかな過ぎて、水面にしゃべらせる始末だ。こうなるともう、何でもありの世界になってしまう。しかし、最低限の体裁は守りたい。何でもありにしてはいけないのだ。私は考えた。しかし、やはり何も思い浮かばない。

私は力なく天を見上げた。

このとき初めて、このパビリオンの天井の装飾を近くで見た。特徴的な形であることは分かっていたが、近くで見るとまた迫力があった。こうしたことがなければ、このパビリオンの天井の装飾にそこまで注目することはなかったかもしれない。

水面は続けた。

「どんな状況も、何かに繋がっているの。その良し悪しはともかくとしても。」


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